スルッとKANSAI廃止はいいが、PiTaPaとは別のICカードに移行、だと?

やわなべです。本気で探せば、部屋のあちこちに残高が残ってる「スルッとKANSAI」が5枚は眠ってるはずです。

その、スルッとKANSAIが廃止だそうです。

磁気乗車券「スルッと」廃止へ…後継はIC型 (読売新聞) – Yahoo!ニュース

たしかにその後出たICカードのPiTaPaが普及して、ICOCAとも連携するようになって、磁気カードの「スルッと..」は、短期滞在する旅行者くらいしか利用メリットがなく、このニュースそのものはまあ、ご時世かな、と思うんですが、気になる記述が。

私鉄各社は「イコカやピタパとも異なる利便性の高いICカードを作りたい」(私鉄首脳)として、乗車回数に応じた買い物ポイントの付与や、回数券の機能などを盛り込む考えだ。

 

えっ?

 

PiTaPaとは別のICカード? てかPiTaPa運営してるのもあなた方でしょうに。なんで同じ利用エリアで、ふたつもICカード運営する必要があるんでしょうか。というわけで以下、推測してみました。

スポンサーリンク

なにわあきんど仕様のPiTaPa

PiTaPaは、他の交通系ICカードにはない「ポストペイ」方式を採用してます。

suicaやICOCA、あるいは廃止されようとしてる「スルッとKANSAI」が、事前に現金などでチャージしてから使う「プリペイド式」なのに対し、PiTaPaは後払い。そうなんです、

 

涼しい顔して、ツケで私鉄や地下鉄に乗ってるんですよ、関西人は。

 

さらに、そのツケ払いの際、便宜を図った側であるはずのPiTaPaが、なぜかある程度割引した額を請求しています。これをなにわあきんど仕様と呼ばずしてなんと呼ぶんでしょうか。

たとえば私はPiTaPa機能を持ったクレジットカードで自動引落しにしてるんで、8月にPiTaPaで電車に乗った料金が、9月になってクレジット会社から請求が来ます。

これは直近のカードの利用明細ですが、1割弱くらいの料金が割引されてるのがわかるでしょうか。これ別に何か登録してるわけじゃなくて「勝手に割引」されてるんですよ。

ICOCAがいつまでたってもオートチャージができない、どんくさいカードってのもあって、関西ではPiTaPaが一番使い勝手のいいICカードだ、というのは以前に書いたとおりです。

(参考)関西で電子マネーといえばICOCAではなく、PiTaPaです

これが関西人の求めるサービスレベルだ

で、このPiTaPa導入の際になぜ「ポストペイ」を採用したかってのを中の人に聞いた8年前の記事がありました。

(参考) ITmedia ビジネスモバイル:PiTaPaはなぜ“ポストペイ方式”なのか――スルッとKANSAIに聞く(前編) (1/3)

文章は長いですが、これを読むと「いかに関西人のサービス要求がえげつないか」がわかる良記事です。

プリペイド方式を取る以上、非接触ICカード化しても、ご利用前のチャージ(プリペイド)や、残額を意識しなければならない部分が残ります。磁気式プリペイドカードで多くの苦情をいただいたことを鑑みると、お客様がこれら(チャージや残額確認)を望んでいるとは考えられない」

いらちな関西人には、「残高やチャージを意識しないといけないこと、すなわち悪」という観念があることがわかります。最近同種の主張をするエントリーを書いたばかりの私としては、血は争えないという厳然たる事実を前にうなだれるしかありません。

(参考)コンビニごとに使える電子マネーまとめ〜PiTaPaがファミマで使えるようになった記念

ただ、ポストペイへのユーザーの不満の他に、現実的なコスト問題もあったとか。

口座引き落とし/ポストペイ方式を採用すれば、券売機や定期券発行機の(改修に伴う)投資コストがいらない。また、定期券や割引サービスへの対応も容易になることに気付きました。(略)ポストペイ方式での導入で試算したところ、(非接触IC対応が)改札機だけならば、投資コストは1/5ですむことがわかりました。

が、この部分については、後のICOCAとの連携の都合で路線変更をします。

PiTaPaの特徴は「ポストペイ」であるが、一方でPiTaPaカードにはプリペイド(前払い)チャージの領域も設けられている。これは他の交通機関との連携をスムーズに行うためだ。

(参考)ITmedia ビジネスモバイル:優れたサービスは「関西のお客さん」が育てる――スルッとKANSAIに聞く(後編) (1/5)

そうなんですよ。ポストペイのICカードなのに改札通るときに「チャージしました」とか出る。プリペイドなICOCAと連携するようにチャージ領域を持ってるんですね。どこまで健気なんでしょうか。そしてこの裏の努力を知らずに使ってる人がいっぱいいるのが不憫でなりません。

過適応した結果の関西ガラパゴスICカード

同記事は、関西のやかましいユーザー要望をいちいち取り入れる企業側の涙ぐましい努力にスポットがあてられていますが、結果できたPiTaPaは、関西ユーザーの要望に過適応した末の、「関西ガラパゴスICカード」として独自の進化を遂げる形となりました。

suicaなどはその後、コンビニなどの少額決済にもどんどん提携していき、2013年には、他エリアの交通カードとの相互連携が実現したのは記憶に新しいとところ。

が、関西ガラパゴスなPiTaPaはその輪に入れてもらえず、どんくさいICOCAの存在も相まって、関西一円、電子マネー決済そのものが普及しづらいエリアとなってるわけです。東京に行くとあらゆるものがsuica払いで済むんでカルチャーショックを覚えます。

仮に別のプリペイドICカードができたらどうなるか

では、冒頭記事にあるように、PiTaPaとは別のプリペイド式のICカードができたらどうなるんでしょう。仮にピタパ2とでもしましょうか。

おそらくsuicaと連携してsuica決済できる端末で、ピタパ2払いができるようになるんでしょう。

ピタパ2ユーザーが関東に行ってもそのままsuica/pasmoエリアで使えるし、suica決済ができるコンビニ(ほとんどそう)では当たり前のようにピタパ2で買い物ができるようになります。他社クレジットカードのポイントからピタパ2ポイントに交換、なんてのもできるようになるでしょうね。

デポジットだけ預かればカードの新規発行もすぐできますし、ICOCA対応でオートチャージ対応してる改札も多いんで、導入コストもPiTaPaの初期導入の時ほどにはかからない。

ガラパゴスPiTaPaは自然淘汰されるのか

そのようにピタパ2が全国仕様に対応するようになると、現在のガラパゴスPiTaPaは、そのシェアをピタパ2に奪われ、自然淘汰の道を歩むのかもしれません。で、運営側としては密かにそのシナリオを望んでるのかなぁとも邪推します。

「それならいっそPiTaPaをプリペイド型に変えれば?」と思いますが、PiTaPaの開発コンセプトが「プリペイド型磁気カードへの不満解消」ってところにあったんで、今さら「やっぱりPiTaPaプリペイドにしますわ、えらいすんまへん」とはいきづらいんじゃないでしょうか。特に、今ある割引がなくなった際の関西人の反発を考えると、背筋が寒くなります。

てか、プリペイド型チャージにも対応する現PiTaPaを、そのままsuicaと同じ決済端末で使えるようにするのってできないんですかね。コンビニの決済端末だって、プリペイドなsuicaやEdyと、後払いのQUICPayやiDが共存してるわけじゃないですか。そこにPiTaPaも入れたってぇな、なんでできひんのんな。使い勝手悪いやないの。え?なんやそないむつかしこと言われてもうちプロやないねんからわかれへんわ。みてみぃなファミリーマートさん、おんなじ機械でちゃんとやったはるでぇ。えらいわー。とにかくどこでも使えるようにしてくれんと、ややこしてかなんわ。割引もちゃんとしといてや。

ちょっと。ICOCAさん。あんたわろてる場合ちゃうで。しゃんとしぃやホンマ。

「関西人の取扱説明書 辰巳出版 電子書籍」販売ページヘ

関西人の取扱説明書 辰巳出版 電子書籍

  • 作者: 千秋 育子
  • 出版社: 辰巳出版