古本屋で見つけた昭和23年(1949年)の野球雑誌をうpするよ

やわなべです。

暦の上では春、てなことを申しますが、我々野球ファンにとっては、

大谷1号 日本ハム-阪神/練習試合詳細 – プロ野球ニュース : nikkansports.com

こういうニュースがTLに流れてきたときが「春」なのでございます。今日は気温も穏やかで浮かれ気分で散歩していたところ、古本屋でこんなのをみつけて買っちゃいました。480円。

野球雑誌の先駆け、といっていいんでしょうか、野球時代社が発行した月刊誌、「野球時代」昭和二十三年の新春号です。表紙の御仁は前年シーズン優勝した南海ホークスの山本一人監督。「鶴岡一人親分」と呼んだほうが通りがいいでしょうね。なんでもこの当時は婿入りした奥さんの実家の苗字を名乗っていたそうです。(wikipedia情報)

さて、雑誌のコンテンツはというと「三代付録」と銘打って、

・日本野球ペナントレース総決算
・ベースボール手帖
・東西対抗スケッチ

とあります。中を見ましたが普通にこれらのタイトルを冠した記事があるだけでした。どうやらこのころの「付録」というのは、今で言う「特集」の意味あいのようです。

監修なのにめっちゃ記事書いてる鈴木惣太郎氏(野球殿堂)

見開きページ、右の親友のメジャーリーガー宛のメッセージを書いてるのは、当雑誌を監修している鈴木惣太郎氏。アメリカ帰りで日本のプロ野球の復興に尽くした方で野球殿堂になってる方ですね。(Wikipedia情報)

ただ、この方、球界のエライさんで監修の立場なはずなんですが、

1ライターとして、めっちゃ記事書いてます。

連載まで持ってるし。まあ、この時点で敗戦からまだ3年しかたってないわけで、日本はGHQの管理による絶賛占領期間中なわけですよ。職業ライター(しかもスポーツ)なんてほとんどいなかったんでしょう。

「野球時代」、ライター募集してるってよ

と思ってたら、こんな小欄が。なんでも前号で新人ライターを募集すべく原稿を募ったところ、

果然、大反響を呼び、寄せられた投稿は毎日編集室のデスクを埋めております

とのこと。で、デスクを埋めるほどの原稿が集まってるにもかかわらず、なぜか二次募集をかけてます。お題は「なぜ3割打者が少ないか」、どうやらこの頃は投高打低だったようですね。65年後の未来から改善案を提案させていただくとすれば、ボールを変えてみてはいかがでしょうか

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昭和二十三年のベースボール

さて、この号はは新春号ということで前年のシーズンを決算する、というのがメインです。

見開きページの左に「燦たり巨人の三星」(けっ)と3人紹介されてたのは、

・最優秀投手 中尾碩志
・首位打者&本塁打王 青田昇
・本塁打王 川上哲治

のお三方。いずれも大御所過ぎてピンときませんが、現役時代があったんですねぇ(当たり前!)

その次のページでようやく、前年優勝した南海ホークスの軌跡を振り返る写真が出てきます。このころから巨人ありきのプロ野球だったのか、あるいはシーズン優勝というものがそれほど重要視されるものではなかったのかもしれません。

写真を見ても優勝決定試合ですら観客はまばらです。多くの国民にとって、まだプロ野球に熱狂するには時期尚早だったんでしょう。

1948年のベストナイン

続くページは「1948年の日本野球ベストティーム」が紹介されてます。投手が3名選ばれてますが、今で言うベストナインでしょうか。

ラインナップは以下

投手:別所昭(南海)
   中尾碩志(巨人)
   眞田重男(太陽)
捕手:土井垣武(阪神)
一塁:川上哲治(巨人)
二塁:千葉茂(巨人)
三塁:藤村富美男(阪神)
遊撃:木塚忠助(南海)
外野:別当薫(阪神)
   青田昇(巨人)
   坪内道則(金星)

これ見て「懐かしい!」と思う人が一体どれくらいいるんでしょうか。(そんな人はまずネットやってないでしょうが)

あ、ちなみにこの年のシーズンは8チームによる1リーグ制でした。

編集部、人気チーム頼りのプロ野球に懸念す!

巻頭の言として、いきなりプロ野球の先行きを憂うる、関係者に改善を促す檄文が記されています。読んでみると、この頃のプロ野球は運営収入がチケット売上がほとんどで、それを勝ち数に応じて分配する仕組みだったようです。が、人気も実力もある巨人や阪神の赤字がひどい。これを、コストを掛けて有力な選手を集めようとする努力をしているものが報われない構造だ、と批判しています。

なんだか現在と批判の矛先が逆なようですが、実際、下位球団のなかには、巨人・阪神戦による興行収入だけがメインの関心事で、自軍の戦力向上には無頓着な球団もあったようです。

アメリカ野球の情報が多い

あと、これは監修者である鈴木惣太郎氏の影響でしょうが、かなりのボリュームでアメリカのメジャーリーグの情報を扱っています。

このころの野球ファンは普通に日米の両方の野球に興味があったんでしょうか。

広告は2ページのみ!

現在の雑誌はむしろ広告がメインですが、まだこの頃は、広告費を出す余裕のある企業も少なかったんでしょう、広告は最後の2ページのみです。

広告主は医薬品メーカー、証券会社(日興証券)、ゲーム会社、カメラ、ガラス、鉛筆、仁丹、ペニシリン、富士銀行(安田銀行から改称)

特に「エベレスト鉛筆」は、野球にからめたイラストを配した広告は評価したいところですが、

きれいな滑り走り、エベレストのように

というキャッチコピーがいまいちピンとこないのと、それをイメージさせるのに盗塁のスライディングのイラストを持ってくるのはやや強引すぎると感じました。

まとめ

というわけで、野球ファンでも楽しめたのかどうか、書き手として若干不安を感じるエントリーでしたが、奇しくも去年優勝したのが、1948年優勝の南海の流れをくむソフトバンクホークス、ということもありますし、今シーズンも65年前と変わらず、大いにプロ野球を楽しみたいですね、と雑なコメントで締めたいと思います。