暇だからピンク・フロイドのアルバム全部聴いてみた

やわなべです。

とうとう今月で終わってしまう定額制の音楽配信サービスMusic Unlimited。いまだ後継のサービスのメドは全くなく、4月とともに音楽難民になるのは確定のようです。

(参考)Music Unlimited 終了ってまじかよ!

最後に短時間ながらお世話になった「Music Unlimited追悼企画」として、なんらかの「聴きおさめ」みたいなのをしとこうかな、と考えて思いついたのがこれです。

Pink Floyd / ピンク・フロイドのアルバム全部聴く

はい、プログレッシブ・ロックの大御所、ピンク・フロイドでございます。実は私自身はリアルタイムで全く聴いたことがないのですが、40代の知人にアンリミを紹介した時、「うわっ、ピンク・フロイド全部聞けるやないか!」と驚かれたので、いろいろ情報を仕入れたところ、お勉強モードで全アルバム聞いても損はないであろうバンドであることが確信できたので、アンリミ追悼企画にちょうどよいと採用した次第。

ちなみに、1960年代から活躍するピンク・フロイドですが、最新作が出たのはなんと去年(2014年)。残念ながら、この最新アルバムだけはアンリミに入っていません。タイトルには少し虚偽ありですが、実際に聴いたのはデビュー作の「夜明けの口笛吹き」から、1994年の「対」までの14枚ということでご了承ください。

そして、これだけの枚数を事前知識なしに聴くのはしんどいと思い。ガイドブックとしてこちらを手に入れました。

では、早速ひとつずつ聴いてみましょう。

1枚目: The Piper At The Gates Of Dawn / 夜明けの口笛吹き

1967年リリース。11曲中8曲が最初のバンドの中心人物で、伝説的存在だったシド・バレットによるもの。先入観も事前知識もなしで聞くとちょっとサイケなポップアルバムって感じ。でも、やっぱりどっか洗練された感じがあるのは、シド・バレットの個性と教養のなせる業なんでしょうか。このドラムとベースの感じは好きですねぇ。特に5曲目の「Pow R.Toc H」がお気に入りです。

2枚目: A Saucelful Of Secrets / 神秘

1968年。中心だったバレットがバンド続けられる状態じゃなくなって、代わりに、デイヴィッド・ギルモアが加入、これからあとずっとコアメンバーとなります。ヒプノシスによる独特のジャケットデザインもここから。

ロック風味がやや薄れ、洗練された感じのサウンドに。サイケながらも耽美な雰囲気が漂っていて、ああ、プログレを聴いてるな、という感じがしてきます。えんえんリピートで流し続けられる感じ。ただ、まだ1枚目みたいなサイケロックな雰囲気の曲と混ざってて、アルバムとしての統一感、ってところまでは感じませんね。3曲目の 「Set The Controls For The Heart Of The Sun」が好きです。

3枚目: More / モア

1969年リリースのサントラ仕事。一説によると録音8日で作成したんだそうな。いろんな曲調の楽曲が入ってるのはサントラだからなんでしょうが、ひとつのコンセプト・アルバムって感じはしないですね。あんま知性を感じないハードロック調みたいなのもあるし。6曲目の哀調あふれるヴォーカル曲「Cymbaline」が好み

4枚目:Ummagumma / ウマグマ

1969年リリース。これは事前知識がないとちとキツい。2枚構成になってて1枚目が既存の楽曲のライブバージョン、2枚目はメンバー4人によるソロ作のコンピレーションといった構成です。ここまで聞いてきた曲のライブバージョンが聞ける1枚目はまだよかったんですが、2枚目はどの曲も、環境音楽っぽい、起伏の少ない地味目なインスト色が多くて、ちょっと聞くのがしんどかったですね。好きな曲を選ぶとすれば、2枚目のギルモアの「The Narrow Way」ですかねぇ。

5枚目:Atom Heart Mother / 原子心母

1970年の有名作ですね。電子音やストリング、ブラスから生活音まで、多彩な音で緻密に構成され、かつムダな音が全くないという、ひとつの完全世界が構築されています。これは美しい。ここまで聞いてきてよかった。アルバムがひとつのシンフォニー的なもんなので、この中で好きな曲、というのも無意味な気もしますが、最後の「Alan’s Psychekdelic Breakfast」は普段の生活の中で、ふとした時に脳内再生されそうです。

6枚目: Meddle / おせっかい

1971年。出だしの不気味なベースの曲は人気プロレスラー、アブドラ・ザ・ブッチャーの入場曲としてもお馴染みです。一見何気ないアコースティックな曲でも音の一つ一つの組み合わせが絶妙で、この世にいない感を感じます。このアルバムの象徴はなんといっても最後の20分超えの大作、Echoesなんですが、個人的には、2曲目の「A Pillow Of Winds」のアコギの浮遊感がたまらなく好きです。

7枚目: Obscured By Clouds / 雲の影

1972年のサントラ作。スタジオミュージシャンのソロ作品みたい。いや、ライブ盤かな。iTunesで「全曲プレビュー試聴」してるように唐突にミュートで終わる曲があって、全然入り込めません。駄作ってわけじゃないんでしょうけど原子心母と次の「狂気」の間の作品としては聴けないですね。

8枚目: The Darkside Of The Moon / 狂気

1973年リリース、ロックアルバムの売上の歴代ベスト3に入る説明無用の最重要作品です。ですが、素人がそんな事前知識なしで聴いても、これがタダモノでないアルバムだ、ってのは即理解できるでしょう。コンセプトに基づいて完全に構築された音楽と世界観。天国に持って行きたい。TimeからThe Great Gig In The Skyへの流れが美しすぎる。

9枚目:Wish You Were Here / 炎~あなたがここにいてほしい

「狂気」の大ヒットで少し間をおいて作られた1975年の作品。かつての中心人物シド・バレットへの思いを作品にしたそうなんですが、スキの全くない前作と比べると、少し演歌的な叙情っぽさが加わってきたような感じがしました。

それによって「原子心母」や「狂気」にあった荘厳さというか神々しさというか、歌詞とかコンセプト全く知らなくても感じる「あ、これは正座して聞かなあかんやつや」感が薄れてしまった感も。いや、いいアルバムですけどね。演奏上手いし。1曲あげるなら、やはり、コンセプトの中心「Shine on You crazy Diamond (Parts 1 – 5)」でしょうか。

10枚目: Animals / アニマルズ

1977年。イヌ、ブタ、ヒツジと題された10分超えの3つの組曲からなるシンプルな構成です。前作「炎」で感じた叙情的なエレキギターがさらに前面に出てきてます。かっこいいんですが、どっちかというとそれって「汗かきロック」系のかっこよさなんで、コンセプチュアルに世界観を構築しようという姿勢、少しちぐはぐな印象を感じます。

Dogsとか、いい曲なんですけど、途中、「師匠、ソロ、お願いします」みたいな感じで入ってくる泣きのギターにどうしても笑ってしまうんですよねぇ。

11枚目: The Wall / ザ・ウォール

1979年、2枚組で発表されたオペラロック的な作品。これ、セールス的には「狂気」の次に売れたんですよね。音作りへの神経質さが感じられる一方「なにこれ?」な曲もあって、ここまで全作聴いててきて、はじめて曲を飛ばそうかな、と思うこともありました。

2枚目の冒頭「Hey You」から「Bring The Boys Back Home」までの流れと、続く美しい「Comfortably Numb」のところは好きだけど、その後の若干クィーンを彷彿とさせる派手なパートのところは「んな、大げさなw」と思ってしまいます。

12枚目: Final Cut / ファイナル・カット

1983年リリース。ここまでコンセプトを提示してバンドをひっぱてきた、ロジャー・ウォーターズ参加の最後の作品「あれ、なんか枯れちゃった?」とも感じる、アコースティックでしとやかな楽曲が続いて、これまでの系譜からすると物足りない人もいるでしょうけど、私は好きですよこれ。

ロジャーさん的には「ハイ、これで、打ち止め」て感じだったんでしょうか。特にタイトル曲の「Final Cut」なんてむちゃくちゃ美しい。これでアルバム終わりでもよかったのに、ライブステージ的な演出なのか、アンコールっぽくハードなナンバーが入ってきて、ちょっと蛇足かなーと感じました。

13枚目: A Momentary Lapse Of Reason / 鬱

1987年。ギルモア体制の最初の作品。ウォーターズさんとの間で「ピンク・フロイド」の名前を使うな的な悶着があったそうです。コンセプト色が薄れて、良質のギターサウンドアルバムって感じ。なんかBGMになっちゃうんですよねぇ。

この作品を聞いて自分はどうやら、ウォーターズのおせきせがましくもコンセプチュアルな世界観がやっぱり好きだったんだなあと感じました。1曲選ぶとすれば、そうですねぇ、インスト曲の「terminal frost」をあげときましょうかね。

14枚目: The Division Bell / 対

1994年。前作よりはコンセプチュアル色を濃く感じますが、やっぱり、プログレというよりは環境音楽的な感じギルモアって人は、根本的に演奏がきちんとしたアルバムを作りたいんだなぁ、と思いましたよ。聴きやすいけど、エセでもいいんでちょっと以前の涅槃感を感じる要素を盛り込んでくれるとうれしいんですが。

1曲えらぶならやっぱりインストの「Marooned」かなぁ。

おまけ: Louder Than Words

冒頭書いたように、20年ぶりに出た2014年のピンク・フロイド名義の新作「THE ENDLESS RIVER / TOWA(永遠)」は聞いていません。2008になくなったリチャード・ライトへのトリビュートというコンセプトで出された作品で、ギルモアさんもフロイド名義の作品はこれが最後とおっしゃってます。

Youtubeの公式チャンネルにあったこの曲だけを聞きましたが、「対」同様の、環境音楽っぽい耳障りの良いサウンドは相変わらずですね。20年のインターバルを感じないところはすごいですが。

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14枚聴き終えて

作業しながらですが3日かかりました。やっぱり「原子心母」「狂気」の存在が圧倒的ですね。耳障りはいいけど決してBGMにはなりきらない独特の存在感。この2枚は延々無限ループでかかってても聴き続けられる自信があります。

それに続くのが「おせっかい」「神秘」、さらに加えるなら「炎」、「ウォール」「ファイナルカット」、折にふれて聴き返すとしたらこの辺りでしょうねぇ。

「原子心母」と「狂気」は4月になってアンリミが聴けなくなったらたぶんすぐ恋しくなって買いそう。というわけで
ここまで長々と失礼しました。そして長時間お疲れ>自分。