変わるしかなかった(野村謙二郎)他、2015年プロ野球開幕前に読みたい3冊

やわなべです。いよいよ今週末からプロ野球セパ両リーグが開幕ですね。

現在開催中のセンバツ高校野球だけでは飽きたらず、開幕を待ちきれない衝動を抑える安定剤代わりに野球関連の本を読みあさってます。底辺ブログな当サイトの中でもダントツの不人気カテゴリである「野球」ネタではありますが、いくつか紹介させてください。

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微差は大差 / 森脇浩司

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微差は大差 オリックス・バファローズはなぜ変わったのか

  • 作者: 森脇浩司
  • 出版社: ベースボール・マガジン社

昨シーズンのパ・リーグの終盤を大いに盛り上げたオリックス監督、森脇さんの著書です。球団ファンクラブに加入した新参者、ということもあって、必須図書的な感じで読みました。

ここで多く語られてるのは、どちらかというと抽象度高めな、組織論・リーダー論です。いいこと言ってる風で、facebookのタイムラインで流れてきたら読まずに「いいね!」押すタイプの言葉が並びます

といっても中身の無い空虚な言葉が並んでるってわけではなく、本人は信念から語っていると思うんですが、なんといっても具体的が少ない。考えたら当たり前で、彼は現役で今季も指揮をとる監督なわけで具体的なエピソード交えて語れるわけないんですよね。

例えば昨年オフ、メジャー行きか国内FAかで騒がれた球界のエース金子の経緯に関して「いや、実はあれにはこんな経緯があって…」とか書けるわけない。

ただ、彼の野球や人材育成に対する実直・真摯な態度ってのは、それはもう、本からにじみ出てくるくらいにあふれてて、現役時代から引退後に至るまで複数球団に引っ張りだこな「現場が必要とする人材(©落合博満)」だという事実に納得せざるを得ません。

読みどころとしては、他のインタビュー記事で読んだ気がするのですが、ホークスのヘッドコーチを突然解任された際のエピソード。自分の翌年の生活不安なんてそっちのけで、翌日一緒にゴルフをするホークスの選手達への影響に気を遣って球団に公式アナウンスを待ってくれ、と要請したり。発表されるや、すぐさま他球団からオファーが来るものの、「玉突き的人事で自分のような境遇の人間を他に出したくない」と固辞するとか。

最終章で野球人生で世話になった方を紹介しているところがいかにも森脇さんらしいんですが、その最後を締めくくるのが親友だった、亡き津田恒実さんです。ここのエピソードだけはぜひ実際に読んでいただきたいです。

変わるしかなかった / 野村謙二郎

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変わるしかなかった。

  • 作者: 野村 謙二郎
  • 出版社: ベストセラーズ

前季までのカープの監督、野村謙二郎さんによる手記です。長らくBクラス続きだったカープの監督就任から5年、今年は優勝候補にあげられるまでのチームに育てた手腕は名将の域にあると言ってもいいんじゃかと思います。

本書は監督として采配を振るった5年間、それぞれの年を1章ずつとして、どういった姿勢で取り組んでいったか、ということが記されています。他チームファンの私から見ても、年ごとに采配のスタンスが微妙に変わった印象があったんで、本書を読んで腑に落ちたところもしばしば。

本書のタイトル「変わるしかなかった」ってのは監督就任2年目、2011年の闘いを綴った第2章のサブタイトルなんですよ。で、彼が「何を」変えるしかなったのか、というと、実は、組織の管理職としてのスタンス、です。

彼自身は野球人生の中で、わりと昭和的なスパルタ環境で育ってきてて、彼が就任する前のブラウン政権の放任主義的なスタンスなんかには若干ぬるさを感じでいたようです。

それもあって就任1年目は、自分が育ったスパルタ式をよかれとやってみたけど、あんまりうまくいかなかった。で、2年目はコーチに権限を譲渡して任せてみるようにした。3年目は反感を恐れず自分の信念を断定的に指示してみよう、とか。とにかく、在任中はリーダーとしての立ち位置を終始模索しておられた様子です。

まあ、若いカープなんで、舵取りも難しいところはあるかとは思いますが、個人的には、このあたりのリーダー論的な手記がメインになってるのは、彼のような若くて意欲もある指導者としてはちょっともったいないかなぁ、と感じました。

というのもこういうのって監督になる前に、コーチなり二軍監督なり経験してたら、ある程度自分のスタンスが決まるものなんじゃないのかなぁ、と思うわけで。

野村さんが2005年に現役引退してから5年ブランクがあって、時期リーダーを育成するという考えがチームにあったなら、中間管理職的なポジションを経験させることで、本書に記されたような葛藤の一部はクリアした可能性もあったんじゃないかな、と。

その点は野村さん自身、思うところがあったのか、来年限りでの監督退任を決意した2013年末以降、現在の監督である緒方孝市さんを常にそばにおいて、トップの判断を一緒に経験させるようにした、と書いてありました。緒方さんは野村さんが就任したときよりはやりやすいんじゃないでしょうかね。

そう考えると、気が早すぎますが、緒方さんの次に誰がカープの指揮をとるんでしょうかねぇ。今年のカープの首脳陣を見ると、次期監督候補生みたいな方は同年代の石井琢朗さんを除けば見当たりません。

世代的に次となると黒田前田智あたりなんでしょうけど、あ、そうそう、本書の読みどころのひとつに、今季メジャーから復帰する黒田が、去就に迷いに迷って、「そんなシチュエーションで人に相談してもなんにも得るところないやろ」的なシーンで野村さんに電話してた、なんてエピソードが紹介されてます。「うわぁ、この人、ホンマに迷ってたんやなぁ」と感じさせられるとともに、とかく「男気」とかのキーワードで紹介される黒田も、意外とリーダー的な資質は期待できないのかなぁ、とか感じたり。

そうなれば、阪神が冠つけたイベントを開催したりと必死で囲い込もうとしている金本知憲氏ぐらいしか思い浮かびません。

(参考)阪神4・9にサイン入りグッズ当たる「金本デー」 – 野球 : 日刊スポーツ

このぶんじゃ、今年またアメリカに武者修行に行く、という野村さんの再登板というのは十分可能性ありそうですよね。次の機会には本書に書いたような、指導者として「変わるべきか、変えないべきか」なんて悩むことなく、確固たるスタンスで監督を務められるんじゃないかと思います。

古田式・ワンランク上のプロ野球観戦術 / 古田敦也

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古田式・ワンランク上のプロ野球観戦術 (朝日新書)

  • 作者: 古田敦也
  • 出版社: 朝日新聞出版

野村さん同様、いきなり監督として就任し、最初の監督キャリアが不完全燃焼に終わったっぽいと感じるのが古田敦也さんです。どこぞで再登板するといい仕事しそうな感じがするんですけどね。

最近出たこの本は、昔出した「フルタの方程式」の焼きまわし的な要素も少なくないですが、技術的にどこに着目するして見ると面白いのかを、理論的にまとめてあって非常に参考になります。「古田の方程式」はYoutubeにも上がってますけどテレビでもやってたんですかね。

https://www.youtube.com/watch?v=FWTzSf8i9-o

もし、彼氏、または彼女が大の野球ファンだけど自分はさほどでもなく、しょうがなしに観戦に行かないといけないような方は、無理をしてそのチームの選手名だとか応援歌とかを覚える代わりに、本書を読むと観戦が一気に楽しくなりますよ。