【読書感想文】「6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート

やわなべです。

先日の大阪都構想の住民投票が反対多数で否決されたあと、市民でもない方がブログで「大阪市民は日本の他の地域の住民のことを考えて投票しろ」と書いていらっしゃるのを見て、あまりの上から目線にあきれて苦笑するしかなかったんですが、その方のレトリックをそのまま流用してこの本を紹介するとすれば、

「人間は他の地球上の生物のことを考えて行動しろ」

となるでしょうか。

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エリザベス・コルバート「6度目の大絶滅」

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6度目の大絶滅

  • 作者: エリザベス・コルバート
  • 出版社: NHK出版

この、エリザベス・コルバート「6度目の大絶滅」は、地球の生物史において、生物の誕生以来、隕石衝突による恐竜の絶滅を含む大絶滅が過去5回あったという紹介とともに、まさに現在、6度目の大絶滅が進行中だという事実をつきつけます。そして、その原因は他ならぬ人間という種の存在です。

最初に紹介されるのは中米のパナマで、その土地の名物的存在であった金色なカエルがある時を境に謎の大量死をとげ、あっという間に絶滅危惧種になったというエピソード。結局、原因は元々その土地になかった新種のツボカビ菌による感染病みたいなもの。

このツボカビ菌がなぜ突然パナマの地に現れたかについては、諸説あって1950-60年代に妊娠試験やウニ使われたカエル(そのカエルはくだんの菌がついてもなんともない)の輸送によって全世界にばらまかれたという説と、食用としとして輸出されたウシガエルの移動による説。いずれにせよ、人が介在したことによって地球上の広範囲に繁殖したしたといえます。

ある生物の居住域に天敵となる生物が侵入することでその種が滅亡してしまう、というケースは、別にヒトが介在しなくても起こりうることです。が、通常それが起こるスピードは非常に遅く、何万年もかけて移動が行われることから種の絶滅も緩やかに進行するわけです。

そうした何万年もかけた移動を上回るインパクトを与える要因が地球上に起こったときに、大絶滅が起こります。恐竜らが一気に絶滅した隕石の衝突はその一番わかりやすい例でしょう。そしてj本書は「人類の誕生が隕石の衝突と同じようなインパクトを与えうる事件だ」と主張するのです。

いや、「人類によって自然の生態系が破壊されている」というメッセージそのものは、環境保護の論点から、よく聞かれるものですよね。私自身、読む前からだいたいの筋書きは予想できてたんですが、ポイントは、それが、フロンガスの排出によるオゾン層の破壊だとか、化石燃料の利用による地球温暖化だとか、乱獲による海生生物の減少のように、近代資本主義的な経済重視の行動による自然破壊によるもの、ではなく、人類の誕生のその時から起こっていることなのだ、という点です。

2万5千年前、オーストラリア大陸で大型生物が絶滅したケースを例に、どうやら気象変動などのインパクトではなく、人類による過剰殺戮が原因で絶滅したと思われるケースが多いことが示されます。まさにこれはアニメや映画になって話題になった「寄生獣」の….

地球上の誰かがふと思った. 『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか……』

これじゃないですか。

「寄生獣」では、自分自身は普通の人間なのに、寄生生物の生存と社会進出に力を貸そうとする人物が出てきます。本書を読み終えた後、彼の気持ちが少しわかる気がしてびっくりします。 著者のコルバートさんもそれに近い表現で本書を締めくくっています。

非人間的とのそしりを覚悟の上で私は言っておこう。いちばん大切なのは人類の存続ではない、と。この驚嘆すべき現在という瞬間に、私たちはこれから進化がたどる道、あるいは、たどらない道をまったく自覚することなく選び取っている。そのような力を持った生物がかつていたためしはなく、残念なことに、それが人類のもっとも永続的な遺産となるだろう。

人間って何なんでしょうねぇ。。。

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寄生獣(1) (アフタヌーンコミックス)

  • 作者: 岩明均
  • 出版社: 講談社