(読んだ本)「マシュマロ・テスト 〜 成功する子・しない子」(ウォルター・ミシェル)

やわなべです。

眼の前にあるマシュマロ1個と、20分待てばもらえるマシュマロ2個のどちらをえらぶか、を試す「マシュマロ・テスト」、我慢力を試す単純なテストのように見えますが、実は、その後の人生の成功に大きく関わってくるんだとか。

「マシュマロ・テスト 成功する子、しない子 (早川書房)」販売ページヘ

マシュマロ・テスト 成功する子、しない子 (早川書房)

  • 作者: ウォルター ミシェル
  • 出版社: 早川書房

スポンサーリンク

マシュマロ・テストとは

どんなテストかは、動画で見れば一目瞭然。

他におもちゃも何もない小部屋に、ひとりきりにされた子供の前に、マシュマロを1個だけ置きます。試験官がもう一度部屋に戻って来るまでに食べずに待てたら、ご褒美にマシュマロをもう1個もらえる、という、単純ながら、彼らの自制心を試そうとするテストです。

著者であるスタンフォード大のウォルター・ミシェル教授が1960年代からやってる研究なんだそうで、このテストの結果と、彼らのその後に興味深い相関があるんだとか。

このテストで試されるのは誘惑に流されない自制心なんですが、単に「我慢する力」の有無を計るのではなく、ストレスをブロックする「心理的免疫系」を持ちあわせているかの尺度にもなります。

上の動画には出てこないんですが、我慢できる子の中には、即興の歌を歌ったり、マシュマロから視界をそらすなどして、なんとか誘惑から自分の気を逸らそうと努力を始める子も出てきます。

マシュマロの誘惑を一種のストレスだと考えれば、誘惑をうまくそらす術を身に着けてる子ってのはつまり「ストレス耐性がある子」、だと考えられます。つまり、誘惑以外にも、ネガティブな感情が起こるようなシチュエーションに置かれた時に、内的にうまく制御することができる。それが、「心理的免疫系」と呼ばれるゆえんですね。

そう考えると、一見、精神力のタフさを試しているように思われる、このテストの印象もちょっと変わってきます。自分の感情のコントロールに必要なのは、強い克己心であると同時に、ある種の鈍感力でもありうるということ。

実生活に応用するとすれば、ダイエットなり、節約なり「自分は意志が弱いから、つい目先の誘惑に流されてしまうんだよなー」なんて悩んでる人は「もっと強い心を持たねば」と躍起になるのも結構ですが、誘惑をうまく交わす、換言すれば「自分をごまかす術」を身につける努力をするのも、決して悪い方法ではなさそうです。

将来に信頼をおいているかどうか

マシュマロ・テストで、高い自制力を発揮するための要素には、もうひとつあります。将来への信頼、とでも言いましょうか。

このテスト、スタンフォード大の中にある保育園で行われてるんですが、試験官を務めるボランティアの学生らは、ある程度の信頼関係を築くため、事前にある程度、被験者である子ども達とコミュニケーションを持つ時間を設けるんですよね。

猜疑心の強い子だったり、試験官に信頼関係が築けていなかったりすると、自制心がある子でも、「もしかしたら試験官は帰ってこないのでは?」と考え、そのリスクと天秤にかけて、目の前のマシュマロを食べるという(彼にとって)合理的な選択をするかもしれません。

これは、我々の日常の意思決定においてもそうで、例えば「1ヶ月で2倍にして返すから10万円貸してくれ」と知人に言われたら、相手によほどの信頼を置いていない限り貸さないでしょう。

将来得られる期待値に対し、その将来に対する信頼度が低いと考える場合、少なくても目先の報酬を取るという判断は、行動経済学的に考えても納得できるところです。

さあ、そう考えると「今、遊ばずに勉強しておけば必ず将来、成功できるよ」と言われて、言われた通りに努力して成功する子と、そうでない子の違いは、自制心だけは計れない、ってことになりますね。

成功への近道は、小さな成功体験

よく、成功した偉人の伝記などを読んで、彼らの尋常でない努力ぶりに圧倒されることがありますが、見方を変えれば、それだけ彼らは、将来の成功の可能性を強く信じていたと考えることもできます。心理的距離という概念で言い換えれば「現在の自分」と「成功した未来の自分」との距離をそう遠く感じていていない状態です。

それをなしうるのは、たとえば「マシュマロを我慢することで、もう一個もらえた」みたいな「自分の意志で自制した結果、報酬を得た」という小さな成功体験なのかもしれません。

本書によると、こうした自制心の差ってのは、生まれつきの要素と、育った環境の要素、両方あるそうですから、我が子に「強い自制心を持ってほしい」と期待する親御さんは、自制したらメリットがあったという実体験を作ってあげるよう促すといいでしょうね。

そして、今、人生の岐路にあるけれども、次の一歩がなかなか踏み出せないという方は、勇気を奮い立たせて強い意志を持とうと努力する….のも結構ですが、その目標設定が妥当か、自分の中でその実現可能性を内心どれだけ信じているのか、少し離れたところから冷静に検証してみるといいかもしれません。

「マシュマロ・テスト 成功する子、しない子 (早川書房)」販売ページヘ

マシュマロ・テスト 成功する子、しない子 (早川書房)

  • 作者: ウォルター ミシェル
  • 出版社: 早川書房