(読んだ本)「USJを劇的に変えた、たったひとつの考え方」「確率思考の戦略論」/ 森岡 毅著

やわなべです。

USJのCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)である森岡毅さんの本が、ビジネス本ジャンルで売れてるようです。書店に行っても、たいてい平積みになってます。

私、ビジネス書はほとんど読まなくて、とりわけマーケティング本の中には、後出しジャンケン的に事例並べて、その共通項を無理やりカテゴライズして、造語でラベリングしてるだけな本も多いんで敬遠気味なんですが、本書は当たりですね。

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「USJを劇的に変えた、たったひとつの考え方」

最初に読んだのは「たった1つの考え方」。主張は非常に明快で、マーケティング思考は戦略的思考の一形態であり、戦略とは、すなわち手持ちのリソース配分のための取捨選択である、というもの。

本書の実践的ノウハウは第4章と第5章に凝縮されていますが、「戦略的思考をどうアクションに落としこむか」というノウハウを4章でコンパクトにまとめ、続く5章でそれを「マーケティング」にあてはめる形で再度なぞる構成になっています。

実際のマーケターまたはその予備軍にとっては、概略からディティールへとなぞることで理解が深まりやすいですし、そうでない人にとっても、4章の内容を自分のケースにあてはめるならこうかな、と考えるヒントにつながりやすい。

これらのキモパートの直前に、著者がマーケターの役割を治水工事になぞらえている箇所があります。

マーケターの仕事を考えた時に、まるで流れの悪い川の治水工事をやるように感じたことがしばしばあります。一番上流にある「市場の大きさ」という湖に100%溜まっている水を、川を使って一番下流の「売上」という企業の池へと、できるだけ多く流していくゲームなのです。その間にある川はには「認知率」や「配荷率」や「購入率」などの川幅が狭まる場所がいくつもあるのですが、そのいくつかが不必要に狭いせいで水が流れる量が少なく限定されてしまっているのです。

どこの川幅が問題なのかを明確に洞察して、適切な治水工事を行い、不必要に狭い川幅をどんどん広げていく。そうやってたくさんの水が流れる仕組みをつくっていく。それが売れる必然を作るマーケターの仕事だと私は考えています。

文中の「認知率」や「配荷率」を、「クリック率」「コンバージョン率」「承認率」などに置き換えれば、思考のスキームとして、まんまアフィリエイトに流用できるじゃないか、とか考えられますよね。ましてアフィリエイトは、戦略立案に必要な各種データが、数字として取りやすいという強みもあるわけで。

もちろんそれ以外の仕事や、仕事以外の目標にも流用できるかと。

「確率思考の戦略論」

その、さらに具体的エッセンスを展開しているのが「確率思考の戦略論」です。

お値段3000円以上ですし、50ページ以上ある巻末補足は数式だらけで数学の教科書みたいになってるんで、おいそれとおすすめはしませんが、著者もおっしゃるように、巻末の数式はさらに自分で検証したい読者のためにつけたもので、数式の理解がなくても本書の内容は、普通に理解できます。

著者のかつてのP&G時代の先輩との共著になっていて、森岡氏のパートでは、前著を敷衍する形で「マーケティングの真の目的は消費者のプレファレンス(好意度)の獲得である」とし、そのためにどこにリソースを突っ込むべきかの戦略を立案するための数学的な道具の解説です。

その核としてNBDモデルという難しい確率モデルが出てきます。巻末の解説もざっと読みましたが、売りたい商品があるとして、それが消費者選択される確率に、リピータ効果を加味し、より実態に近い需要予測をするためのモデルのよう。

こんな感じで、前著よりは間口の狭い、より専門的な内容になってます。

後半には共著者の今西氏が登場、市場調査やサンプルリングベースの需要予測を解説されています。こちらも専門的で正直ついていけてないんですが、ふしぶしに見られる「信頼性に難があったり、不確定要素の多い情報を使ってどうやって予測精度を上げるか」という考え方が参考になります。そう、客観的に接すべきデータを「こうなってほしい」という願望に引っ張られた形で解釈をしてしまいがちですからねぇ。

全編通じて専門的な印象は強いので、今取り組んでいることを客観的に整理し、戦略的に進めていきたいと思う向きには前著のみでいいのかな、と。

あと、私は未読ですが、もしUSJの売上V字回復を、お話し的に読みたいのであれば、文庫にもなってる、こちらがよいでしょう。

ちなみにUSJはこの夏休み、関西在住の子供が無料になるキャンペーンを実施予定です。

15周年お子さま無料キャンペーン|パークの楽しみ方|ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®|USJ

15周年の記念となってますが、これら著書の数式によって、ちゃんと勝算取れるよう計算してるんでしょうねぇ。