(読んだ本)『鉄客商売』唐池 恒二

やわなべです。ここんとこなぜかビジネス本の読書が続いてて、JR九州の会長であられる唐池氏の著書「鉄客商売」を読んでみました。

ひとことで評するなら「サラリーマン稼業の冥利」を伝える本、でしょうか。就活生やその予備軍、あるいは現在サラリーマンだけど「人生 is 歯車」と感じているような方が読むと視点が変わっていいのかな、と。

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鉄客商売

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鉄客商売 JR九州大躍進の極意

  • 作者: 唐池 恒二
  • 出版社: PHP研究所

著者は、国鉄時代からの鉄道マンなんですが、本流である鉄道事業の話はあまり出てきません。というのもこの方、博多と釜山を結ぶビートル(連絡高速船)の就航準備に駆りだされたり、それが一段落したら今度は外食事業に配置転換とか、本流以外のところで成果を上げてこられた方なんですよね。

この手の本にありがちなゴーストライター仕事ではなく、完全著者の書きおろし(文章書くのが好きで社内報とかで頑張るタイプのよう)です。軽妙な語り口や構成はビジネス書というより、自己啓発書っぽくもあります。

一番ボリュームが多く割かれているのは外食担当時代の話。著者が配属した頃のJRの外食事業は、慢性的な赤字垂れ流し体質で「お荷物」扱いされていたとのこと。各地方の担当者が集まった最初の会合のシーンの殺伐さから、「これって、本人は言わないけどもしかして…左遷?」、とも思いました。

が、そのお荷物だった外食事業の黒字化を数年で達成。その手腕を買われ本社中枢の経営企画のポジションに復帰、社長を経て現在会長職にあるわけです。私なら配置転換の時点でたぶんくさってたわ。

ただ、いかにお荷物だったとはいえ、九州全土に展開する同社の外食事業の規模は、当時でも年商20億レベル(現在は分社化)。その事実上の責任者のポジションについたのが40歳、ということで、若くしてこうした大きな仕事を任せられるのは大企業に属しているメリットといえるでしょう。

また、本書でたびたび強調される「人の縁」ですが、外食事業の再建において、その道のトップレベルの人に指導を仰ぐ機会に恵まれたりしてます。これも大企業のバックアップあってのことでしょう。

自己啓発書っぽいこの本、各章末に著者がその章で紹介したエピソードから自分が得た「学び」が掲げられてるんですが、よく出てくるのが「気」というお言葉。そのまま「職場の空気」の「気」と考えてもよさそうですが、どんな仕事であっても本気で取り組もうとする「本気」の「気」とも感じました。

サラリーマンって、クビにならないかぎりは安定したお給料がもらえるんで、「知らない仕事」「面倒くさそうな仕事」「ややこしい仕事」に「本気」で取り組もうとするモチベーションが起こりにくい構造的欠陥があります。大企業ならなおさらだと思いますが、そのあたり、著者はとてもよく自制できている方だなと感じました。

本書の締めくくりは、高額の料金にもかかわらず予約が取れない高級列車「ななつ星」の誕生エピソード。文章の節々に自信が滲んでいるんですが、本書の発売直前に熊本地震が発生、発売も延期されたんだそうな。現在「ななつ星」は阿蘇を通らないルートに変更して運行されているようですね。

最後にこの本、私はkindle版で読んだんですが、紙の本で買った方が良かったかも、と感じてます。

というのも、カバー絵や挿し絵がとてもきれいで、それもそのはず、人気の現代画家、山口晃さんが担当されてるんですよ。山口さん、特に九州のご出身ということでもないようなんですけど、これも著者の幅広い人脈の一環だったりするんでしょうか。

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鉄客商売 JR九州大躍進の極意

  • 作者: 唐池 恒二
  • 出版社: PHP研究所