(読んだ本) 韓流経営 LINE

やわなべです。

2016年7月、満を持して上場したLINE。ふだんIPOに興味のない私も買うか買わないか考えました。IPOどころか、上場後もまだ買ってないんですが、この会社には謎めいたところもあるんで、NewsPics取材班による「韓流経営 LINE」を読んでみることに。

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韓流経営 LINE (扶桑社新書)

  • 作者: NewsPicks取材班
  • 出版社: 扶桑社

2016年5月まで、NewsPicsに連載していたものが元なので、ネットで読んでたという人はそれと同じ内容かと。本書もLINEにまつわる「謎」を追うべく、全体的にミステリー風タッチで進行するんですが、乗っかって読んでると、最後に出てくるLINE株式会社のストックオプションリスト(社内の誰が株を持ってて、IPOでどれだけその資産価値が上がったか)で「へぇ」と感じる仕掛けになってます。まあ、最初の方でちょろっと書いちゃってるんですけど。

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韓流経営 LINE

LINEの「謎」は大きく「経営主体がどこにあるのか」「なぜNY市場と同時に上場するのか」の2点。いずれも本書の取材を通じた解説でなんとなく見えてきた気がします。

LINE上場の話は2年前からあったわけですが、なかなか進まなかった理由のひとつに「親子上場」ってところがありました。

同社は韓国の検索シェアトップを握る韓国ネイバー社(旧NHN)の完全子会社で、2013年に変更する前の社名はNHNジャパン。ホリエモンショックの後のライブドアを子会社化した後に経営統合した企業でもあります。

親子上場は去年の郵政3社の同時上場など他に例があるんですが、東証のルールとしては新規上場にあたって35%以上の株を流通させる必要があります。完全子会社ってことはLINEの株式の100%を韓国ネイバーが持ってるってことで、その3割以上を市場に流通させると、それだけ親会社の支配権が薄まってしまう。ネイバーはこれを嫌がって、市場に流通させる株と、親会社が持つ株とで種類をわけ、一般株主の支配権に制限をかけようといった画策を練っていたみたいです。

それが今年になって韓国ネイバーが株式の80%以上を保有したまま、上場する方向で話がまとまりそうになってきました。なぜか。詳しくは本書に譲りますが、どうやら今回、NYと東証とで同時上場した理由がそこにあるようです。

本書で一番印象的なのが、上場準備も大詰めになっていたであろう、2016年5月の時点で、東証関係者が取材班に対したというこの発言。

「この会社、本当に上場させてもいいと思いますか?」

過去にアジア企業を誘致しようとして東証がやらかした失敗の二の舞にならないか、という懸念もあるんですが、LINE自身への懸念、特にその意思決定プロセスの不明瞭さへの懸念も含んでいます。というのも、LINEの意思決定にはLINE本体と、親会社である韓国ネイバーと子会社とは別の第3の企業の存在があるわけで。

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上は本書の中の図解ですが、「LINEプラス」という韓国籍の企業があり、そこがLINE事業のグローバル展開の司令塔のような役割を担っているようです。LINEプラスCEOのシン・ジュンホ氏は、LINE株式会社の取締役CGOで、「LINEの父」とも呼ばれる存在の方。本書の推察通り、LINEの事実上のトップはおそらくこのシン氏で、本拠は先行でビジネスが成功した日本に置きつつ、今後のグローバル展開においては、その司令部を韓国に置く方が何かとやりやすいんでしょう。

この、韓国と日本とにまたがったLINEの体制は強みでもある反面、今後さらにグローバルに発展していく際に、ねじれ状態にならないかなと感じます。むしろ親子が逆なような。

結局、LINE株は買うべきか

結局、読み終えたところで、お前はLINE株を買うのか、と聞かれたら、そうですね、ちょっとぐらいは持っててもいいけど、10倍、100倍に化ける株とは考えない方がよさそうかな、と。

メッセンジャーアプリのグローバル展開には傘下のWhatsAppと自社製アプリを抱えるFacebookという巨人との戦いとなるのでこれはかなり厳しい。

一方、日本国内においては、メッセンジャーアプリでシェアを奪われそうなライバルは見あたらず、ゲームやスタンプ、広告といったマネタイズもできてて、利用者は多いけどマネタイズに苦しむTwitterなどより稼げる体質ではあるのかなと。ただ、売上の起爆剤になりやすいスマホゲームで、すでにある程度成功した状態からのスタートなんで、今後の爆発的な伸びしろが期待しづらいというところも。

ちなみに広告などLINE事業のマネタイズには、NHNジャパン時代に買収した旧ライブドアの営業チームの寄与するところが大きいようです。

7/28現在の株価は4000円前後、NYSEでは38ドル台と、為替レートを考慮すればほぼ同じくらいで推移しています。ただ米国株は1株から買えるし、SBI証券はLINE上場のキャンペーンとして、米国株の購入手数料の値下げとかもやってるんで(それでも国内株より全然高いですが)、割と気軽に変えるようになっています。

ドル建てETFの分配金がちょろっと余ってるんで、上場後1ヶ月くらいして落ち着いたとこで少し買ってみましょうかね。できれば20ドル台になってたらいいのになー。

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韓流経営 LINE (扶桑社新書)

  • 作者: NewsPicks取材班
  • 出版社: 扶桑社