「経済学者 日本の最貧困地域に挑む」「バブル」ほか今週読んだ本4冊

やわなべです。

今週は半分インフルエンザで寝込んでました。たまに調子のいい時にベッドで電子書籍を中心に読んでました。すみません、実はまだ完治してないんで、この読書メモも手短に。

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『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』 / 鈴木 亘

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経済学者 日本の最貧困地域に挑む―あいりん改革 3年8カ月の全記録

  • 作者: 鈴木 亘
  • 出版社: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2016-10-07
  • メディア: Kindle本

著者が挑んだ「日本の最貧困地域」ってのは大阪市西成区のあいりん地区。橋下市長時代の特別顧問だった鈴木さんが、この地区の問題解決に挑む話で、地元の話ってこともあり読んでみたんですが、こんなにケーススタディとして肌で理解できる経済学の本、他に見たことないです。

本来、著者の顧問の仕事は改革案を立案するまでだったのが、なし崩し的にその後の実務まで押し付けられてしまいます。その結果、複雑な権利が絡み合った現場と、予算を握る大阪市役所との調整という、きっつい仕事をする羽目に。綺麗事や理想論だけでは到底やっていけない中、経済学のメソッドを武器に著者がどう渡り歩いたかが読みどころ。

各章末尾に、その章での出来事にちなんだ行動が、経済学でいうところの「〇〇」である、といった紹介と、なぜそれが有効かなのか、なぜ「△△」ではダメなのか、を解説するコラムがついています。今まで漫然と知ってるつもりだった経済学の用語が、修羅場のケーススタディと共に理解できる、大変貴重な本です。

『バブル』 / 永野 健二

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バブル―日本迷走の原点―

  • 作者: 永野 健二
  • 出版社: 新潮社
  • 発売日: 2016-11-25
  • メディア: Kindle本

かつての日経新聞の証券担当の記者による、1980年代後半のバブル経済期をその前夜から振り返る内容です。当時、ニュースなどで世間を騒がせた人々は、著者と面識があるか直接インタビューした経験のある人が多く、独自のエピソードによって、過去の話ではないリアルさが感じられます。

バブルを招いた要因は、プラザ合意で急激な円高になる中、同時に進めた急激な金融緩和が、金融機関を国内産業への投資より不動産投資に向かわせた点にあるようですね。こんな時期に、ベンチャー精神溢れる事業家タイプの人間が出てきても、実業より金融面での成功を目論むのも無理からぬ話だよなぁ、と。

第1章で、国指定の出先機関的に企業の頂点のような存在だった日本興業銀行が、バブル末期には大阪の料亭経営のおばちゃんに融資を受けてもらうべく担当者が日参するまでになった様子が、一番象徴的でした。

『体の中の異物「毒」の科学』 / 小城 勝相

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体の中の異物「毒」の科学 ふつうの食べものに含まれる危ない物質 (ブルーバックス)

  • 作者: 小城勝相
  • 出版社: 講談社
  • 発売日: 2016-12-23
  • メディア: Kindle本

中毒学という分野の本です。ここでいう毒物とは、化学反応によって生物に障害を引き起こす物質のことで、フグ毒などの「自然毒」、農薬などの「合成毒」、重金属の「無機毒」、放射線など「その他の毒」に分けられますが、この本では、いわゆる食中毒については類書が多いという理由で触れてません。

で、毒物が生物にどのように作用するかを説明するんですが、例によって手抜きのないブルーバックス、化学結合の化学式の詳細な説明から入ります。挫折しそうになったらここは飛ばしていいかも。

重要なのは、毒物の毒性には生体に影響を及ぼすに必要となる量の閾値があり、無害とされる物質であっても、この閾値が高いだけだったりするということ。放射能に関する議論にありがちですが、毒に対するゼロリスクなんてものはないんだ、ということですね。

『奄美の歴史入門』 / 麓 純雄

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奄美の歴史入門

  • 作者: 麓 純雄
  • 出版社: 南方新社
  • 発売日: 2011-01-15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ついLCCで春の奄美行きのフライトを取ってしまって、泥縄式に奄美の情報を集めてます。この本は奄美の由緒ある小学校の校長先生が自校の生徒たちに島と学校の歴史を伝えようとして書かれた本。ぶっちゃけ観光でこの地を訪れようとする人にはあまり有益な情報は乏しいんですが「那覇世(なはんゆ)」「大和世(やまとゆ)」といった、他勢力の複雑な影響の元でしたたかに生き抜いてきた歴史の一端がうかがえます。

何か島独特の言い伝えや、神話みたいなものでもあれば、と思ったんですが、あんまないみたいですね。島の創生神的な「アマミコ」伝説も、どうやら琉球勢力の支配下の際に持ち込まれたもののようで。