「ハプスブルク・スペイン 黒い伝説」「AI農業」ほか、ここんとこ読んだ本3冊

やわなべです。

「Amazonで書籍の半額セールやってるよー」てな投稿を見かけたんですが、私がいつも読む候補の本をプールしてる「ほしい物リスト」を見ても、ひとつも安くなってないんですよね。よほど縁のない出版社か実用書・コミックとかのセールなんでしょうか。

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ハプスブルク・スペイン 黒い伝説 / ジョセフ・ペレス

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ハプスブルク・スペイン 黒い伝説: 帝国ななぜ憎まれるか (単行本)

  • 作者: ジョセフ・ペレス
  • 出版社: 筑摩書房
  • 発売日: 2017-01-26
  • メディア: 単行本

世界史をなぞった中ではスペイン栄光の時代に見える、カルロス1世・フェリペ2世の時代が、対立するフランドル地方などを中心に当時から不当な内容を含む批判を浴び、その繁栄時代が終わってから現在に続くまで、スペイン人はそのくびきにあえいでいるというお話。

当時のカルロス1世がスペインの王としてではなく、ハプスブルク家、カトリックの盟主として、異教徒や勢力を増すプロテスタントに対峙していたことで、その時の悪行をカトリックとしてではなく、スペイン人が負わされるのはおかしいだろ、というのは理解できます。

さらに、スペイン繁栄の時代が終わって二流国に甘んじると、今度はスペイン内部からも「カトリックと心中したのがよくなかったんじゃね?」といった自虐的な内省も。ただ、同じくカトリック国だったフランスが、途中色々あったものの、革命を経て現在、先進国の一員になってるのを見れば、それだけじゃないよねー、となる。

著者は帝国を率いたスペインへの中傷や攻撃を、現在の反米感情にも通ずるものとしていますが、むしろ、過去の所業を中傷的な文脈含めて隣国から批判を浴び続け、繁栄から衰退への道を辿ってる日本人こそ、今後同じようなアイデンティティの苦悩に悩む予備軍に一番近いんじゃないでしょうか。

AI農業 / 神成淳司

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ITと熟練農家の技で稼ぐ AI農業

  • 作者: 神成 淳司
  • 出版社: 日経BP社
  • 発売日: 2017-02-09
  • メディア: 単行本

農業でAIというと、光や肥料などを自動的にコントロールする植物工場を想起しますが、そうではない。というか、植物工場のように作物の質を均質にするための自動化は決して生産性が高くないんだそう。

著者の取り組みは、熟練農家の日々の農作業における判断を可視化・記録することで、暗黙知から形式知とし、若者など、未熟な農家でも、短期間で生産性を高めて国際的な競争力を高めようというもの。現状、そこで用いられる技術は熟練者が装着するアイカメラによる視点追跡だったり、クラウドベースのナレッジストレージ的なものだったりで、正直AIとはちょっと違う印象。

国レベルで、ICTとしての仕組みづくりに取り組んでる動きが紹介されますが、結局、国産クラウドみたいなものになってしまうような不安も。国は関連の法整備とか知財保護の部分の関与にとどめといた方がいい気がするんですが。

チョコレートはなぜ美味しいのか / 上野 聡

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チョコレートはなぜ美味しいのか (集英社新書)

  • 作者: 上野 聡
  • 出版社: 集英社
  • 発売日: 2016-12-16
  • メディア: 新書

タイトルからは、たわいない新書のように感じますが、実は食品物理学の先端研究の紹介を含んだ結構骨太な内容です。お菓子をよく作る女子ならよく知ってる「テンパリング」の仕組みの解説から、テンパリングなしで同じ結果を得るための最新の研究事情などが紹介されます。実験手法には放射光施設とか使ってるんですね。