「中動態の世界」「人体5億年の記憶」他ここんとこ読んだ本3冊

中動態の世界 / 國分 功一郎

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中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

  • 作者: 國分功一郎
  • 出版社: 医学書院
  • 発売日: 2017-03-27
  • メディア: 単行本

意志や責任という概念の起源を言語上の能動/受動の産物ととらえ、その曖昧さの根本を追求すべく、それ以前に存在した中動態という視座を再発掘しようとするスリリングな内容です。哲学書はあんまり読んでないですが、難しい用語を使わず、関連する論文の解説や批判もとても丁寧で読みやすいです。最後に本書のテーマでもってメルヴィルの遺作を解説するという構成もおしゃれなんだけど、個人的にはスピノザの読解で終わった方がすっきりしたような。

人体 5億年の記憶 / 布施 英利

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人体 5億年の記憶: 解剖学者・三木成夫の世界

  • 作者: 布施 英利
  • 出版社: 海鳴社
  • 発売日: 2017-03-15
  • メディア: 単行本

著者が東京芸大の学生時代に印象的な講義を受けた解剖学者三木成夫の特異な思想を彼の著作からひもとこうするという内容。もともと三木が図解付きのライトな語り口を得意としていたこともあって、著者もムダな解説はせず、読書会的なノリになってます。植物から始まる生命の歴史の記憶を人体の構造や成長過程の中に見ようとする三木の視点は、なるほど神秘に満ちた印象的なもので、電書化されてる彼の著作を追加で買いました。

宣教師と「太平記」/ 神田 千里

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シリーズ<本と日本史>(4) 宣教師と「太平記」 (集英社新書)

  • 作者: 神田千里
  • 出版社: 集英社
  • 発売日: 2017-05-19
  • メディア: Kindle本

戦国時代にカトリック布教のために訪れた宣教師達が、布教対象の庶民向けに太平記を出版していたそうな。その意図や独自の解釈を探るというよりは、いかに太平記が当時の人々の共通テクストとして読まれていたかの考察がメインテーマのように感じました。太平記や平家物語の読み方として、源平両家の支配が交代する循環史観的なものが当時の日本人の共通意識としてあったのでは、という指摘は面白いです。