「豪腕」「生涯投資家」他ここんとこ読んだ本4冊

『豪腕』 / ジェフ・パッサン

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豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品

  • 作者: ジェフ・パッサン
  • 出版社: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017-03-07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

トミー・ジョン手術に代表される、職業野球投手の肘の故障について、様々な関係者への綿密な取材をまとめた膨大な本。1章をさいて、高校球児を中心とした日本の状況にも触れられてますが、そこだけ読んでも手抜きなしの取材っぷりに感心します。本にまとめる際に、もう少し取捨選択してもよかったかな、とは思いますが、野球ファン含め野球に関る人は読む価値あるでしょう。投手の肘の保護については、球数制限など様々なアプローチが紹介されてますが、どうやら現状は「壊れる時は壊れる」という以上に確実なことは言えない状況のようで。

『生涯投資家』 / 村上 世彰

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生涯投資家

  • 作者: 村上 世彰
  • 出版社: 文藝春秋
  • 発売日: 2017-06-21
  • メディア: 単行本

物言う株主として、非情な守銭奴のようなイメージも持たれたこともあった同氏の述懐。その主張は明快、現在までも首尾一貫していて、コーポレートガバナンスの浸透、引いてはガラパゴス的な日本的経営のグローバル化にあったことが、整然とした理論でもって語られます。よくわからない容疑で逮捕された経緯含め、その口調に未練がましさや弁明がましさは感じられず、最後まで論理的な主張が続きます。投資案件にあたっては、人脈をたどって必ずその企業のトップに会って直接対話をされているし、その姿勢は投資家としての模範的なスタンスだと思うんですけどね。

『リトル・ドラマー・ガール〔下〕』 / ジョン・ル・カレ

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リトル・ドラマー・ガール〔下〕 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジョン・ル・カレ
  • 出版社: 早川書房
  • 発売日: 2015-08-27
  • メディア: 文庫

女性主人公チャーリーの活躍ぶりとは裏腹に、だんだんと乾いていくような彼女の心情の推移が痛いほどリアルに感じられます。下巻ではチャーリーが、シオニスト勢力の二重スパイとして、対抗するパレスチナ系テロリストの陣営に潜り込む様子が描かれるんですが、その陣営でのリアルな描写が全編通じて一番印象に残ってます。単なるスパイ小説でない紛れない傑作だと思いますが、読後感は複雑ですねぇ。

『関東軍』 / 島田 俊彦

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関東軍 (講談社学術文庫)

  • 作者: 島田 俊彦
  • 出版社: 講談社
  • 発売日: 2005-06-11
  • メディア: 文庫

日本の昭和史を読んでると、いつのまにか制御できない暴走機関として登場する関東軍。本書はその誕生から最後までの経緯を淡々とまとめた貴重な本です。微妙な日露戦争の勝利後、身の丈にあわない満州経営にのめり込んでいき、中国の内乱に翻弄され続け、無駄にいろんなものを消耗していった様子に虚しさを感じるばかり。ある意味、日露戦争の勝利がこの泥沼の引き金になったとも言えるわけで、「坂の上の雲」とか読んでナショナリズム的高揚感を感じた後に、後日譚として読むとバランスが取れていいかもしれません。